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グループ会社横断!マルチブランド運用の権限設計ベストプラクティス

グループ会社横断!マルチブランド運用の権限設計ベストプラクティス

はじめに

企業が複数のブランドを展開する「マルチブランド戦略」は、今や大手グループ企業だけでなく、中堅規模の企業でも重要なマーケティング戦略の一つとなっています。しかし、ブランドごとに運用チームやITシステムが分かれている場合、情報管理やセキュリティ、権限管理に大きな課題が生まれやすくなります。

特に近年では、クラウドを中心とした業務システムの普及や、在宅勤務・多拠点勤務の浸透によって、ユーザーごとのアクセス制御や特権管理(PAM)がますます重要となっています。

本記事では、マルチブランド運用におけるグループ横断の権限設計において、どのようにセキュリティを担保しながら、業務効率と柔軟性を高めていくべきか、そのベストプラクティスを紹介します。


1. マルチブランド運用における課題とは?

ターゲットと戦略の多様化

マルチブランド戦略の強みは、異なるターゲット層や価格帯に対応できる点です。高級志向・コスト重視・機能特化など、ブランドごとの差別化を図ることで、より幅広い市場をカバーできます。

しかし、ブランドごとに使用するツールや社内フロー、担当者が異なるため、情報共有や運用の統一性に課題が生まれやすくなります。

運用の属人化とセキュリティリスク

ブランド単位で運用が進むと、誰がどの情報にアクセスできるのかが曖昧になりがちです。特に重要なのが「特権アカウント」の管理です。開発者や管理者が複数のブランドにまたがって業務を担当する場合、アクセス権限が過剰になるケースが増え、内部不正や情報漏洩のリスクが高まります。


2. 権限設計における「PAM」と「CIEM」の重要性

特権アクセス管理(PAM)

PAM(Privileged Access Management)は、重要システムへのアクセスを管理する仕組みです。たとえば、ManageEngineの「PAM360」は、以下のような機能を備えています。

  • システムへのアクセス申請と承認のワークフロー
  • ログイン履歴の記録やリアルタイムモニタリング
  • 画面録画・コマンド制御による不正防止

これにより、「誰が・いつ・どこに・何のために」アクセスしたのかを記録・監視し、万が一の際の追跡も可能になります。

クラウド時代のCIEMとは?

CIEM(Cloud Infrastructure Entitlement Management)は、マルチクラウド環境でのアクセス制御を担う新しい概念です。CrowdStrikeが提供するCIEMでは、以下のような機能が活用されています。

  • クラウド上のアイデンティティやアクセス権の可視化
  • 不要な権限(過剰アクセス)の検出と通知
  • 権限の自動リセットや最小権限の推奨

クラウドでは「一度付与された権限が放置される」ことが非常に多く、知らぬ間に攻撃者の侵入口となってしまうケースもあるため、CIEMの導入は非常に重要です。


3. グループ横断の権限設計ベストプラクティス

① 権限カタログの整備

まずは、すべてのブランドで使用されているシステムやツール、権限の種類を洗い出し、「権限カタログ」として可視化します。

このカタログをベースに、どの役職・部署がどの権限を必要としているかを分類し、過剰・不足の調整を行います。属人的な管理を避けるためにも、ドキュメント化は必須です。

② ロールベースのアクセス制御(RBAC)

RBAC(Role-Based Access Control)は、職種や役割に応じてアクセス権限を定める仕組みです。

たとえば、「商品開発担当」「SNS運用担当」などの役割ごとに必要なアクセス範囲を定義し、それに基づいて各ブランド横断で統一した設計を行うことで、管理の効率化とセキュリティ向上を同時に実現できます。

③ Just-in-Time(JIT)アクセス

PAMの一部機能として注目される「JITアクセス」は、必要なときだけ特定の権限を一時的に付与し、時間が経過すれば自動で失効するという運用です。

この仕組みによって、常時過剰な特権を持つことがなくなり、万が一のリスクも大幅に軽減されます。特に緊急対応やシステム障害対応など、「一時的に強い権限が必要」な場面において有効です。


4. ブランド運用とセキュリティ統制の両立

ブランドごとの管理ルールの整備

Lythoの「Brand Center」のように、各ブランドのガイドラインを一元化し、誰でも参照・共有できるようにすることで、運用の属人化を防ぎながらブランドイメージの統一が可能になります。

アクセス権限の階層もこのガイドラインと連動させ、クリエイティブ素材やキャンペーン情報などの閲覧・編集・公開のルールを明確化することが推奨されます。

ITとマーケの橋渡しが鍵

IT部門がセキュリティ要件を定め、マーケ部門がブランド運用の柔軟性を求める。両者のギャップを埋めるには、第三者的な管理者や共通ポリシー策定のプロジェクトを立ち上げるとスムーズです。


5. 事例に学ぶ:先進企業の取り組み

CrowdStrike:CIEMによるマルチクラウド統合管理

CrowdStrikeは、従来のEDRやCNAPPにCIEMを統合し、AWS・Azure・GCPといったクラウド環境すべてでの「アイデンティティの見える化」と「リスク自動対応」を実現しています。

Lytho:ブランドごとのガバナンス設計

Lythoは、ブランド資産を一元管理する仕組みを導入することで、世界各国のブランドチームでも統一感あるクリエイティブ制作を可能にしています。権限ごとに操作範囲を明確にし、担当者交代時もスムーズな引き継ぎが可能です。

ManageEngine PAM360:企業グループ間のアクセス一元管理

グループ企業でPAM360を導入することで、本部がアクセス制御のルールを定め、各ブランドはそのフレームワークの中で柔軟に運用できる仕組みが実現できます。実際に、多国籍企業での導入事例も増えています。


6. 導入ステップ

  1. ブランドごとの業務フローとシステムを棚卸し
  2. 共通の権限カタログを整備
  3. ロール設計・JIT設計の検討
  4. PAM/CIEMなどのツール選定と導入
  5. 権限付与・運用の標準ルール策定と教育

おわりに

マルチブランド運用を行う企業にとって、「ブランドの独立性」と「グループ全体の統制」をいかに両立させるかは、極めて重要なテーマです。

セキュリティ強化だけでなく、マーケティングやブランディングの自由度を損なわず、柔軟で安心な運用体制を構築するには、権限設計の見直しと最適なツールの活用が鍵となります。


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