目次
はじめに
デジタルマーケティングが急速に発展する中、企業や店舗にとって顧客との直接的なコミュニケーション手段の重要性が増しています。その中でも、日本国内で9,700万人が利用するLINEプラットフォームを活用した「LINE公式アカウント」は、効果的なマーケティングツールとして多くの事業者に注目されています。
LINE公式アカウントは、旧LINE@から進化した企業・店舗向けのビジネス用アカウントです。単なるメッセージ配信ツールを超えて、顧客管理、販促活動、カスタマーサポートなど、多様なビジネスニーズに対応できる総合的なマーケティングプラットフォームとして機能します。
本記事では、LINE公式アカウントを初めて導入検討される方に向けて、基本的な機能、料金体系、開設方法、運用のコツまで、実務に直結する情報を包括的にお伝えします。さらに、実際の活用事例や成功のポイントも交えながら、LINE公式アカウントがもたらすビジネス価値について詳しく解説していきます。
第1章:LINE公式アカウントの基礎知識
LINE公式アカウントとは
LINE公式アカウントは、企業・店舗・組織が顧客や利用者に対して直接情報を発信し、双方向のコミュニケーションを可能にするビジネス専用のLINEアカウントです。個人向けのLINEアカウントとは異なり、ビジネスに特化した豊富な機能が搭載されており、マーケティング活動を効率化し、売上向上に直結する施策を実行できます。

主な特徴:
- 国内9,700万人(人口の約80%)のLINEユーザーにアプローチ可能
- メッセージ開封率が約60%と高く、メールマーケティングの約3倍の効果
- 無料で開設でき、基本機能は追加費用なしで利用可能
- プッシュ通知による即時性の高い情報配信が実現
LINE公式アカウントのタイプ分類
LINE公式アカウントは機能と信頼性のレベルに応じて3つのタイプに分類されます。
1. 未認証アカウント
- 誰でも無料で開設可能
- 基本機能はすべて利用できるが、一部制限あり
- 灰色のバッジが表示される
2. 認証済アカウント
- LINEヤフー社による審査を通過したアカウント
- 青色のバッジが付与され、ユーザーからの信頼度が向上
- LINE内検索で表示されやすくなる
- 友だち追加広告やメンバーシップ機能など、追加機能が利用可能
3. プレミアムアカウント
- LINEヤフー社が独自に選定する限られたアカウント
- 最高レベルの信頼性と機能を提供
- 一般企業では取得不可(選定基準は非公開)

引用:LINEプロダクト媒体資料「LINE公式アカウント」LINEヤフー株式会社 MSカンパニー
認証済アカウントを取得するメリット:
- ブランド信頼性の向上
- 検索での露出増加
- 請求書決済対応
- 友だち追加広告の利用権
- メンバーシップ・リサーチ機能の拡張
- 関連サービスでのクーポン表示
- LINEキャラクター利用権付きノベルティの購入権
ベーシックIDとプレミアムIDの戦略的活用
LINE公式アカウントでは、ユーザーがアカウントを検索する際に使用するIDを選択できます。
ベーシックID(無料)
- 自動発行される「@+3桁数字+5桁英字」の組み合わせ
- ランダムな文字列のため覚えにくい
- 費用をかけずにアカウント運用を開始したい場合に適用
プレミアムID(月額100円/税別または年額1,200円/税別)
- @マーク以降を自由に設定可能(4-18文字)
- 企業名やサービス名を含められるため検索されやすい
- ブランドイメージの統一とユーザーの安心感向上に貢献
プレミアムIDは検索性向上だけでなく、オフライン広告やPOP、名刺などでの告知時にも覚えやすく、口コミでの拡散効果も期待できます。
LINE公式アカウントの料金体系
LINE公式アカウントは3つの料金プランから選択でき、開設費用はすべて無料です。プランの違いは配信可能なメッセージ数にあり、機能面での制限はありません。

フリープラン(月額0円)
- 月間200通まで無料配信
- 追加配信不可
- 初回導入やテスト運用に最適
ライトプラン(月額5,000円)
- 月間15,000通まで無料配信
- 追加配信不可
- 中小規模の事業者に適用
スタンダードプラン(月額15,000円)
- 月間30,000通まで無料配信
- 30,001通目以降は1通あたり3円で追加配信可能
- 大規模な配信や複数店舗展開に最適
配信通数の計算方法 配信通数は「友だち数×配信回数×吹き出し数」で算出されます。例えば、友だち1,000人に3つの吹き出しを含むメッセージを1回配信すると、3,000通としてカウントされます。
―無料配信とは、プランごとに設定されたメッセージの通数で、文字通り枠内であれば無料で配信できます。
―追加配信は、無料メッセージの通数を超えた配信を指し、スタンダードプランのみ利用できるシステムです。
第2章:LINE公式アカウントの主要機能
1. メッセージ配信機能
メッセージ配信は、LINE公式アカウントの中核機能です。テキスト、画像、動画、スタンプなど多様なコンテンツを組み合わせて配信でき、1回の配信で最大3つの吹き出しまで同時送信が可能です。

配信コンテンツの種類:
- テキストメッセージ(文字制限: 5,000文字)
- 画像(JPEG、PNG形式、最大10MB)
- 動画(MP4形式、最大200MB、1分以内推奨)
- 音声メッセージ(M4A形式、最大1MB)
- スタンプ(LINE公式スタンプまたは自作スタンプ)
- 位置情報
- リッチメッセージ(後述)
効果的な配信のポイント:
- 視覚的にインパクトのある内容を心がける
- 文章は簡潔でスキャンしやすい構成にする
- 行動を促すCTA(Call To Action)を明確に設置する
- 配信時間帯をターゲット層の生活パターンに合わせる
2. ステップ配信
ステップ配信は、友だち追加や特定のアクションをトリガーとして、事前に設定したメッセージを自動的に順次配信する機能です。顧客の育成(ナーチャリング)や関係構築に極めて効果的です。

活用シナリオ例:
- Day0: 友だち追加お礼+ウェルカムクーポン配信
- Day3: サービス紹介+利用方法ガイド
- Day7: お客様の声+推奨商品案内
- Day14: リピーター向け特別オファー
- Day30: 満足度調査+フィードバック収集
ステップ配信により、人手をかけることなく体系的な顧客コミュニケーションが実現でき、ROI(投資対効果)の大幅な改善が期待できます。
3. 1:1チャット機能
LINEチャット機能は、個別の友だちとリアルタイムでコミュニケーションを取れる機能です。カスタマーサポート、相談対応、予約受付など、パーソナライズされた顧客体験の提供に活用できます。

注意点:
- 未認証アカウントの場合、友だちからの初回メッセージが必要
- 認証済アカウントでは企業側からも能動的にチャット開始可能
- 営業時間内の迅速な対応がユーザー満足度向上の鍵
効果的なチャット運用のコツ:
- 定型的な質問には応答メッセージを活用して効率化
- 複雑な問い合わせは電話やメールに誘導
- 対応履歴を記録し、継続的な顧客関係管理を実施
4. 応答メッセージによる自動化
応答メッセージ機能は、友だちからのメッセージに対して自動で返信する機能で、「キーワード応答」と「一律応答」の2種類があります。

キーワード応答
- 特定のキーワードを含むメッセージに自動返信
- 「営業時間」「料金」「アクセス」などのよくある質問への対応に最適
- 複数のキーワードを設定可能(最大1,000個)
一律応答
- 受信したすべてのメッセージに統一内容で自動返信
- 営業時間外の対応や初回問い合わせへの案内に活用
応答メッセージは配信通数にカウントされないため、コスト削減効果も期待できます。
5. リッチメッセージ・リッチビデオメッセージ
リッチメッセージ

画像とテキストを組み合わせた視覚的にインパクトの強いメッセージ形式です。クリック可能な領域を複数設定でき、異なるリンク先への誘導が可能です。
リッチビデオメッセージ

自動再生される動画を活用したメッセージ形式で、動画終了後にアクションボタンを表示できます。商品紹介、サービス説明、ブランドストーリーの伝達に効果的です。
制作時のポイント:
- モバイル画面での視認性を最優先に設計
- 強いコントラストと読みやすいフォントを使用
- アクションボタンは明確で魅力的な文言を設定
6. リッチメニュー
リッチメニューは、トーク画面下部に常時表示される固定メニューで、ユーザーの行動を促進する重要な要素です。

設定可能なアクション:
- 外部サイトへのリンク
- クーポン表示
- テキスト送信
- ショップカード表示
- 電話発信
- その他(設定しない)
効果的なリッチメニューの設計原則:
- ユーザーが最も求める情報への導線を優先配置
- 視覚的に分かりやすいアイコンとテキストを使用
- 定期的にクリック率を分析し、配置を最適化
- 季節やキャンペーンに応じてデザインを更新
7. LINE VOOM(旧タイムライン)活用
LINE VOOMは、ユーザーがフォローしたアカウントの投稿を閲覧できるフィード型のプラットフォームです。メッセージ配信とは異なり、通数制限がなく、シェア機能により拡散効果も期待できます。

投稿コンテンツ例:
- 新商品・サービスの紹介
- 店舗の雰囲気や製造過程の動画
- お客様の声や使用例の紹介
- 業界情報やハウツー情報
効果的な投稿戦略:
- 定期的な投稿でアクティブさをアピール
- ハッシュタグを活用して発見可能性を向上
- ユーザーの関心を引く価値ある情報を提供
- 他のSNSとの連携でリーチを拡大
8. ショップカード機能
デジタルポイントカード機能で、来店やサービス利用時にポイントを付与し、特典と交換できるシステムです。

導入メリット:
- 物理的なカード作成コストの削減
- ポイント管理の自動化
- 顧客の再来店促進
- 顧客データの蓄積と分析
運用のコツ:
- ポイント付与基準を明確に設定
- 特典の魅力度を定期的に見直し
- 有効期限を設けて利用を促進
- ポイント残高の通知で関心を維持
9. クーポン機能
LINE上でクーポンを配信し、店舗やECサイトでの利用を促進する機能です。

クーポンの種類:
- 割引(金額・率)
- 無料提供
- プレゼント
- キャッシュバック
- その他(独自特典)
効果を最大化するクーポン設計:
- 限定性を演出(数量限定・期間限定)
- 利用条件を明確に記載
- 魅力的なオファー内容を設定
- 利用実績を分析して改善継続
第3章:LINE公式アカウント導入のメリットと成功事例
メールマーケティングを凌駕する効果
LINE公式アカウントの最大のメリットは、従来のメールマーケティングを大幅に上回る開封率と即効性です。

比較データ:
- メール開封率: 約20%
- LINE開封率: 約60%(3倍の効果)
- メール開封時間: 平均5時間後
- LINE開封時間: 平均10分以内
この圧倒的な即効性により、タイムセールやゲリラ的なキャンペーンでも高い効果を発揮します。
心理的ハードルの低さ
友だち追加のプロセスは、QRコード読み取りだけで完了し、個人情報の入力が不要です。ユーザーにとって心理的負担が少なく、気軽に登録してもらえる点が大きなメリットです。
また、不要になった場合のブロックも簡単にできるため、ユーザーは安心して友だち追加を行えます。
多機能性によるビジネス効率化
LINE公式アカウント1つで以下の業務を統合的に管理できます:
- マーケティング: メッセージ配信、クーポン配布
- カスタマーサポート: チャット対応、FAQ自動回答
- 顧客管理: 属性分析、行動履歴追跡
- 販促活動: ショップカード、キャンペーン実施
成功事例1: 飲食業界での活用
株式会社入船「ごちそう村」
- 老舗料亭が運営する飲食店チェーン
- ハガキ・DMからLINE公式アカウントに移行
- 結果: 売上効果が14倍に向上
成功要因:
- 文字を読ませない視覚重視の配信
- 友だち限定メニューの提供
- ユニークなイベント企画
- 友だち数: 約8万人(2022年10月時点)
成功事例2: アパレル業界での活用
APPLEBUM(ストリート系アパレル)
- 実店舗を持たないECメインのブランド
- リッチメッセージを活用した商品紹介
- 結果: メッセージ配信からECサイトへの流入率40%
成功要因:
- 週6回の定期的な配信
- 商品の制作背景やコンセプトの詳細説明
- ECサイトへの明確な導線設置
これらの事例から、業種を問わず適切な運用により大きな成果が期待できることが分かります。
第4章:効果的な運用戦略と注意点
運用時の注意点
1. チャット機能の制限
未認証アカウントでは、友だちからの初回メッセージがない限り、企業側からチャットを開始できません。友だち追加後の積極的なアクション(メッセージやスタンプ送信)を促す工夫が必要です。
2. ブロックされるリスク
簡単に友だち追加できる反面、ブロックも容易です。調査データによると、76.5%のユーザーがLINE公式アカウントをブロックした経験があります。
ブロックされる主な理由:
- 不要な情報が多い(51.6%)
- 配信頻度が多すぎる(24.1%)
- 配信時間が不適切(12.3%)
- 内容が面白くない(8.7%)
3. セグメント機能の制限
一部の絞り込み機能には最低友だち数の条件があります:
- 属性での絞り込み: ターゲットリーチ数100人以上
- オーディエンスでの絞り込み: 対象者50人以上
効果的な運用戦略
1. アカウント認知度向上
- 店内POP・ポスターへのQRコード設置
- ホームページ・SNSでの友だち追加促進
- スタッフによる積極的な声かけ
- 既存顧客への案内メール送信
2. 配信コンテンツの最適化
ユーザーが求める配信内容(調査結果):
- クーポン・セール情報: 92.4%
- 新商品・新サービス情報: 67.8%
- イベント・キャンペーン情報: 54.2%
- 店舗・企業の最新情報: 43.6%
3. 配信時間の最適化
効果的な配信時間帯:
- 最適時間: 21時台(最も多くのユーザーが確認)
- 避けるべき時間: 17時台(最も確認率が低い)
- 業種別調整: BtoBなら平日昼間、BtoCなら夜間や休日
4. セグメント配信の活用
必要な人に適切な情報を届けることで、ブロック率を下げ、エンゲージメントを向上させます:
- 性別・年齢による配信内容の調整
- 購買履歴に基づく商品推奨
- 地域限定イベントの案内
- 行動履歴に応じたフォローアップ
5. PDCAサイクルの実践
- 配信内容の効果測定(開封率・クリック率)
- A/Bテストによる最適化
- ユーザーフィードバックの収集と反映
- 定期的な戦略見直し
LINE公式アカウント開設方法
ステップ1: アカウント作成
- LINE公式アカウント開設ページにアクセス
- 「LINE公式アカウントをはじめる」をクリック
- 登録方法を選択:
- LINEアカウントで登録
- メールアドレスで登録

ステップ2: 基本情報入力
- アカウント名(後から変更可能)
- 業種選択
- 利用規約への同意

ステップ3: 初期設定
- プロフィール画像設定
- アカウント説明文作成
- 基本情報(住所・電話番号・営業時間等)入力

画像引用元:プロフィール|LINEヤフー for Business
ステップ4: 認証申請(推奨)
未認証アカウントとして開設後、認証済アカウントへの申請を行うことで、より多くの機能と信頼性を獲得できます。

画像引用元:LINE公式アカウントの「認証済アカウント」とは?|LINEヤフー for Business
高度なマーケティング機能「Lステップ」の活用
LINE公式アカウントの基本機能だけでは物足りない場合、「Lステップ」などのマーケティングツールの導入を検討してください。

Lステップの主なメリット:
- 詳細な顧客セグメント分けが可能
- 1人以上からでも絞り込み配信が可能
- 顧客の行動履歴を詳細に追跡
- 複雑なシナリオ配信の設定
- CVR向上につながる高度な分析機能
CTA(Call To Action)

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